
Firefoxのツールバーに「VPN」というボタンが突然出てきた。それ、無料で使えます。
追加のアプリも、月額課金も不要です。
「なぜ今まで知らなかったのか」とちょっと悔しくなりました。理由はシンプルで、Firefox 149から段階的に展開されている機能だからです。日本のユーザーには2026年6月頃からロールアウトが届き始めました。
ただ、一点だけ最初に正直に書いておきます。
「Firefox VPN」という名前なのに、中身はVPNよりプロキシに近いです。
Mozillaの公式ヘルプ自身が「ブラウザのトラフィックを安全なプロキシサーバー経由でルーティングし、IPアドレスをマスクする機能」と説明しています。守れるのはFirefox内の通信だけです。メールアプリ、他のブラウザ、バックグラウンドの通信は一切保護されません。
これを知ったうえで使うのと、知らずに使うのでは、安心感がまったく違います。

本記事では、設定手順・月50GBの上限・スマホ対応の現状・有料のMozilla VPNとの違いを順番に整理します。

- Firefox VPNが日本で使えるようになった経緯(2026年3月〜6月の時系列)
- Mozillaアカウントだけで完結する設定手順(PC版)
- 月50GBという通信制限と、除外設定の活用方法
- 有料の「Mozilla VPN」との保護範囲・料金・対応端末の違い
- Android版の最新動向と、iPhone版が対応できない技術的な理由
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Firefox VPNの仕組みと、日本で使えるようになった経緯

2026年3月24日、FirefoxはバージョンFirefox 149を安定版チャンネルでリリース。
このアップデートで、アメリカ・イギリス・フランス・ドイツのユーザーに対して内蔵VPN機能の展開が始まりました。
参照:A free VPN you can trust, now built into Firefox|The Mozilla Blog(2026年3月)
その後、Firefox 150でカナダが追加され、5月19日リリースのFirefox 151で「接続する国の選択機能」が加わることに。そして2026年6月頃、日本を含む30カ国以上への段階展開が確認されています。

「日本のユーザーへのロールアウト実験」であることは、Firefox開発者向けのBugzillaレポートにも記録されています。
参照:Bugzilla Mozilla — built-in-vpn-beta-rollout-to-japan(2026年7月〜8月)
段階展開なので、日本に住んでいてもまだ表示されていない人がいます。それは不具合ではなく、順番待ちの状態です。
ブラウザ内蔵VPNはプロキシとどう違うのか

結論から言うと、「Firefox VPN」の中身は技術的にはプロキシサーバーに近いです。
Mozillaの公式ヘルプはこの機能を「ブラウザのトラフィックを安全なプロキシサーバー経由でルーティングし、IPアドレスをマスクするもの」と説明しています。
独立した暗号化レイヤーが追加されるわけではありません。
通信の中継先は、CDN大手のFastlyが運営するサーバーです。
参照:Firefox’s free VPN adding server location choice, coming to Android|OMG Ubuntu(2026年4月26日)
「VPN」という名称はマーケティング的な呼称も含んでいます。
「ブラウザ限定の無料プロキシであり、まったく別のプロダクトと考えたほうがいい」そう指摘するメディアも複数あります。
「……あ、思ってたのと違う。」
これがわかった瞬間、少し肩すかしを食らった気持ちになりました。でも落ち着いて考えると、カフェの公衆Wi-Fiでブラウザ経由の通信だけを守りたいなら、それで十分かなと思います。
まぉ、用途次第、ということですね。
無料で使える範囲 月50GBの上限と接続できる国

通常時は月間50GBの通信上限があります。上限に近づくと、Firefoxがブラウザ内のプロンプトで通知する仕様です。
接続先として選択できる国は、アメリカ・イギリス・カナダ・ドイツ・フランスの5か国が標準セットです(2026年9月現在)。

「50GBって多いの?少ないの?」
この容量、正直、最初ピンとこなかったです。YouTubeの1080p動画(約2.5GB/時間)をFirefoxでVPN ONのまま見続けると、単純計算で約20時間で50GBを使い切ります。
ただしこれは動画を除外設定に入れなかった場合の話です。
YouTubeやNetflixを除外リストに追加しておけば、検索・SNS・ニュース閲覧だけなら月50GBを使い切ることはほぼないと思います。
外出先の例えば、ファミレスのフリーWi-Fiを使う場合に、FirefoxのVPNを使って閲覧すれば安心かなと。これぐらいならまず50GBを使い切ることはないはず。
なお、2026年6月〜8月31日の夏季限定プロモーションで「月間無制限・接続先28か国」に一時拡張されていましたが、2026年9月1日をもって標準の50GB・5か国に自動で戻っています。
参照:Firefox Free VPN Goes Unlimited Through August|TechTimes(2026年6月16日)
─脱線:「VPNを弾くサイト」って、何をどう検出しているのか─
除外リストが必要になる背景として、「VPN経由の接続をブロックするサービスがある」という話があります。
仕組みを簡単に言うと、接続元のIPアドレスが「一般家庭の回線」ではなく「データセンター由来」かどうかを判定してブロックしています。Firefox VPNのIPはFastlyのデータセンターから割り当てられるプール型のIPなので、Netflixのような地域制限の強いサービスからは「VPN経由だ」と判断される可能性が高いです。
だから除外リストに入れる、ということです。
Firefox VPNの設定方法と、使い始める前に確認する3つの制限

設定はMozillaアカウントにサインインするだけで完結します。特別なアプリのインストールも、追加の設定ファイルの編集も不要です。
MozillaアカウントだけでVPNをONにする手順(PC版)
手順は以下のとおりです。
- Firefox 149以降になっているか確認(メニュー→ヘルプ→Firefoxについて)
- ツールバー右上にVPNアイコンが表示されていれば、クリックする
- 「始める」または「Get started」をクリック
- Mozillaアカウントでサインイン(アカウントがなければ無料で作成できます)
- 接続する国を選択(アメリカ・イギリス・カナダ・ドイツ・フランスの5か国)
- 「VPNをONにする」をクリック

スマホ(Android・iPhone)での対応状況(2026年9月現在)

「PCで使えたならスマホでも使えるはず」と思って調べたところ、状況がそれぞれ異なっていました。
Android版は、2026年7月28日にMozillaが公式ブログでロールアウト開始を発表しました。Firefox 156(2026年9月15日頃から展開)でAndroid向けの内蔵VPN機能が含まれています。
参照:A free VPN you can trust, now built into Firefox|The Mozilla Blog(2026年7月28日更新)
参照:Firefox 156 begins rolling out on Android with built-in VPN|PiunikaWeb(2026年9月15日)
ただし段階的なロールアウトなので、すぐに全員に届くわけではありません。Android版でも表示されない場合は、しばらく待つのが現実的です。
iPhone版はどうかというと、現時点では対応していません。
理由はAppleの制限にあります。iOS版のFirefoxはGecko(Firefoxのエンジン)ではなくWebKitを使用しており、このエンジンの制約がブラウザ内蔵VPN機能の実装を技術的に難しくしています。
参照:Is beta VPN available on iphone and tablets?|Mozilla Support Forum(2026年4月)
なお、MozillaはiOSへの展開計画についても言及しています。ただし具体的な時期は明示されていません。
iPhoneでデバイス全体を保護したい場合は、有料の「Mozilla VPN」アプリ(iOS 17以上対応)が現時点での選択肢ですね。
企業・法人環境では内蔵VPNが無効になっているケース

会社のPCでFirefoxを使っているのにVPNアイコンが出ない。という場合、企業ポリシーによる無効化の可能性があります。
企業向けFirefoxには「IPProtectionAvailable」というポリシー設定があり、Firefox 149.0.1(2026年4月7日リリース)以降、IT管理者がこの機能を無効化できるようになっています。
会社のセキュリティポリシー上、外部プロキシへの接続を禁じているケースも多いため、法人環境では最初から展開対象外になっていることが珍しくありません。
有料の「Mozilla VPN」との保護範囲の違い
「Firefox VPN」と「Mozilla VPN」は名前が似ていますが、まったく別のプロダクトです。
| Firefox 内蔵VPN | Mozilla VPN | |
|---|---|---|
| 料金 | 無料 | 有料(月払い) |
| 保護範囲 | Firefoxのブラウザ通信のみ | デバイス全体 |
| 通信上限 | 月50GB | 無制限 |
| 対応端末 | Windows・macOS・Linux・Android(展開中) | Windows・macOS・Linux・Android・iOS |
| 仕組み | プロキシサーバー経由(Fastly) | WireGuardプロトコルによるVPN |
Mozilla VPNはMullvadのサーバーを利用した本格的なVPNサービスで、57か国以上にサーバーを展開しています。
すでにMozilla VPNを契約している場合、Firefox内蔵VPNのアイコンはツールバーから外しておくことが推奨されています。
両方を同時に使うと通信が競合する可能性があるためです。
─脱線:無料VPNが「タダ」で運営できる仕組みと、Mozillaがそれをしない理由─
「無料なのに大丈夫なの?」という疑問は自然です。
世の中の「無料VPN」の中には、広告収入やユーザーデータの第三者販売で運営しているものが実際に存在します。
MozillaはFirefox公式ブログで「ブラウジングデータを販売しない、広告をトラフィックに挿入しない」という方針を明言しています。無料で50GBを提供できる理由は、有料のMozilla VPNで収益をまかなうビジネスモデルがあるためです。
参照:What’s new in Firefox mobile|The Mozilla Blog(2026年4月22日)
プライバシーポリシーの詳細は、Mozilla公式のプライバシーポリシー(日本語)でも確認できます。
まとめ:Firefox VPNは「カフェで検索するとき」に使う機能と考えると合う

正直に言うと、最初に「VPN」という名前を見たとき、デバイス全体が守られると思っていました。
実際は違いました。守れるのはFirefoxの通信だけです。
「カフェの公衆Wi-Fiでブラウザを使うとき、IPアドレスを隠したい」という目的に限定すれば、月50GB・無料・追加インストール不要という組み合わせは悪くありません。
使い方のポイントをまとめると3点です。
- YouTubeや動画サービスは除外リストに入れて50GBを節約すること
- Mozillaアカウントへのサインインで設定の同期が始まらないことを確認してから使い始めること
- 企業のPCでは最初から使えない設定になっている可能性があること。
この3点を押さえておけば、迷いなく使い始められます。
スマホで使いたい場合、AndroidはFirefox 156から段階的にロールアウトが始まっています。iPhoneはAppleのWebKit制約があるため、現時点では内蔵VPNは非対応です。
「完璧なVPNではないけれど、無料でブラウザだけなら守れる」そういう機能として使うのが、今のFirefox VPNとのちょうどいい距離感だと思っています。
ただ、「デバイス全体の通信を守りたい」「仕事でも使いたい」という場合は、ブラウザ限定のプロキシでは足りません。本気でVPNを使うなら、NordVPNという選択肢もあります。WireGuardプロトコルに対応した本格的なVPNで、デバイス全体の通信を暗号化できます。
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